家の模型と南京錠

店舗における防犯対策は、売上金や商品を守るだけでなく、従業員や顧客の安全を確保するうえでも欠かせません。小売店を狙う侵入窃盗や万引きは、短時間で犯行に及ぶケースが多く、「狙われにくい環境」をつくることが重要です。

そこで、活用したいのが防犯対策用のグッズです。低コストかつ導入が容易でありながら、犯罪抑止や被害防止に効果を発揮するのが特徴です。

本記事では、おすすめの防犯グッズと基本的な対策を解説します。日々の業務と両立できる現実的な防犯対策として、導入を検討してみてください。

おすすめ防犯グッズ4選

ここでは、比較的簡単に導入でき、効果も高いものを4選ご紹介します。取り入れられるものがないか、チェックしてみてください。

防犯カラーボール

防犯カラーボールは、強盗や窃盗犯などへの逃走阻止と識別を目的としたツールです。犯行が発生した際、犯人に向かって投げつけると、衣服や身体に特殊な塗料が付着します。すると、逃走後も外見から容易に特定できるため、逮捕につながる確率を高められます。

設置場所は、レジ裏・出入口付近など、すぐに手に取れる位置がおすすめです。また、視覚的に目立ち、「防犯意識の高い店舗」という心理的抑止力も発揮します。

ただし、カラーボールの塗料は水や洗剤であれってもなかなかとれず、専用のクリーニングが必要になるケースがあります。誤って客や従業員に当たらないよう、使用手順や保管場所を周知徹底することが大切です。

万引き防止タグ

防犯タグは、アパレル・雑貨・家電などの高単価商品で定番となっている万引き防止ツールです。商品にタグを装着した状態で出口ゲートを通過すると警報音が鳴る仕組みで、心理的な抑止と発見率の向上に優れています。

有効な場面としては、スタッフが全商品に目を配れない店舗です。高額・小型商品の多い業態でも導入が適しています。導入方法は、防犯ゲートとセットで設置し、商品入荷時にタグを装着することです。人的な警戒の限界を補い、被害を事前に抑制できます。

ただし、タグ外し作業を誤ると、商品を購入しているにも関わらず警報音が鳴ってしまい、顧客に不快感を与えるケースも。スタッフ教育が不可欠となります。

防犯シール

防犯シールは、貼るだけで防犯意識をアピールできる低コスト・高効果のツールです。たとえば「防犯カメラ作動中」「警察に通報します」などの文言が入ったものは、犯罪を思いとどまらせる心理的効果があります。貼り付けに適しているのは、次のような場所です。

  • 店舗の入口ドアやショーウィンドウ
  • レジ周辺や金庫・バックヤード
  • 商品棚や実際の防犯カメラ付近

初期費用を抑えつつ「監視されている」という緊張感を与えられるため、手軽ながら有効性の高い手段です。防犯カメラやセンサーと合わせて導入すると、高い効果を得られます。

据え置き型の金庫を導入する

営業終了後の売上金をどのように保管しているかは、防犯対策において非常に重要なポイントです。レジ内にそのまま残しておいたり、簡単に持ち運べる小型金庫に保管したりする方法は、侵入窃盗が発生した際に真っ先に狙われやすく、盗難リスクが高いためおすすめできません。

そのため、店舗には据え置き型の耐火・耐工具性を備えた金庫を設置することを推奨します。据え置き型の金庫は非常に重量があり、複数人がかりでなければ運び出せず、こじ開けにも時間がかかるため、侵入犯にとって「その場で持ち出すのが困難」な強固な防犯設備となります。


実際、犯行には短時間で済む場所が狙われやすいため、「時間がかかる」と判断されるだけでも大きな抑止効果を発揮します。

設置の際は、床や設置台の耐荷重に問題がないかを事前に確認してください。価格はサイズや防盗性能によって幅がありますが、一般的な小規模店舗向けであればおおむね5〜8万円程度が相場です。店舗の現金管理における最後の砦としての役割を担うため、導入を前向きに検討すると良いでしょう。

グッズ以外の防犯対策のポイント

グッズだけでなく、店舗や事務所全体の防犯環境を整備する基本対策も欠かせません。特に以下の4つは、どの業種でも必ず押さえておくべきポイントです。

戸締りを徹底する

侵入窃盗の多くは「侵入しやすい場所」を狙うため、施錠忘れは最も大きなリスクです。ありがちなのが、窓のカギや裏口の閉め忘れにより、窃盗犯の新入を許してしまうことです。

最後に退店する従業員には戸締り確認用のチェックリスト(オペレーション)を渡し、確実に施錠するよう周知しましょう。
「どの扉・窓を確認するか」を明確化することで、習慣的に戸締りを徹底できます。

防犯性能の高いガラスを採用する

ガラス破りによる侵入が多いため、CPマーク付きの防犯ガラス(CPマーク付き)を導入することをおすすめします。CPマークは「5分以上侵入を防御できる」と認められた建材につけられる認証で、侵入に時間がかかるだけで犯行を諦めさせる効果があります。

なお、単なる強化ガラスでは防げない場合もあります。必ず性能表示を確認したうえで、選定してください。

鍵・パスワードの管理を徹底する

盲点となりやすいのが、鍵の保管場所やパスワードです。覚えられないからと、同じ保管場所やパスワードにしていると、流出のリスクが非常に高まります。3か月〜半年を目安に定期的に変更しましょう。

特にパスワード式錠前は、使用履歴を消去しながら運用するなどの対策も効果的です。スタッフの全員に周知させるのではなかく、管理者をごく少数にするのも有効です。

侵入検知センサー・カメラを導入する

人感センサーや音声検知センサーを搭載した防犯カメラは、侵入直後に自動録画とアラート通知を行えるため非常に有効です。警報・照明点滅・音声威嚇などにより侵入者を即座に威嚇し、被害発生を未然に防止できます。

万が一被害が発生しても犯行の一部始終を記録でき、警察への提出証拠にも活用できます。ただし、導入にあたっては、プライバシー保護の観点による法的なリスクも発生するため、従業員の同意やカメラ設置の明記など、体制の整備も重要です。

まとめ

防犯カラーボールや防犯タグ、防犯シール、据え置き型金庫は、店舗で手軽に導入できる実践的な防犯グッズです。加えて、戸締まりの徹底、防犯性能の高いガラスの採用、鍵やパスワードの適切な管理、侵入検知センサーやカメラの導入といった基本対策も並行して行うことが不可欠です。

防犯は単体の対策ではなく、複数を組み合わせることで高い効果を発揮します。物理的対策・心理的対策・技術的対策を重層的に組み合わせ、「侵入されにくく狙われにくい環境づくり」を目指しましょう。

By 川上