小売店や図書館、レンタル店などで広く活用されている「防犯タグ」は、商品や物品の不正持ち出しを防ぐための重要なセキュリティ対策です。出口に設置された防犯ゲートと連動し、未会計の商品が通過すると警報が鳴る仕組みで、万引きや盗難の抑止に効果を発揮します。
近年ではRF方式やAM方式、自鳴式など多様なタイプが登場し、商品形状に合わせたラベル型・ハードタグ型などの選択肢も増えています。コストやデザイン性とのバランスを考えつつ、自店に最適なタイプを導入することで、被害を未然に防ぎ、業務効率化や安心感の向上にもつながります。
本記事では、防犯タグの種類やメリット・デメリットを解説。導入を検討している方は、参考にしてみてください。
防犯タグとは?
防犯タグとは、小売店や図書館、レンタル店などで、未会計の商品・持ち出し禁止の物品などを不正に持ち出されることを防止するためのアイテムです。セキュリティタグ、万引き防止タグとも呼ばれます。
基本的に、防犯ゲート(防犯センサーゲート、防犯アンテナ)とタグの組み合わせで機能します。商品にタグを付け、出口などに設置されるゲートがタグの信号を検知すれば、警報が鳴る仕組みです。会計時にはレジでタグを取り外すか無効化されます。
タグとゲートの組み合わせにより、「未精算品を店外に出すと発報する」「店内の持ち出しを未然に防ぐ」といった抑止力が得られ、盗難や万引き行為の抑止・発見という点で有効性があります。
防犯タグの種類
防犯タグにはさまざまなタイプがあり、商品特性や店舗形態・運用方法に応じて適切なものを選ぶことが重要です。
ゲートの方式
防犯タグは、ゲートと一緒に使われます。ゲートの種類は、大きく分けると次の3つに分けられます。
- RF方式(電波式)…8.2MHzなどの電波を使い、タグとゲート間で発信・受信を行う方式。比較的導入コストが低く、タグ・ゲートともに種類が豊富。軽量・多数の商品に貼るシール型タグなどとの組み合わせで柔軟性があります。
- AM方式(磁気式、アコーストマグネティック方式など)…磁気や磁性ストリップを用いて検知する方式。金属や液体などタグ信号を妨げる材質に比較的強く、また誤報が少ないという特徴があります。高級品・衣料品など見栄えも重視する商品での採用が多い。
- 自鳴式タグ(自動警報付きタグ)…タグ自身に警報音が鳴る機能を持つタイプ。タグがゲートを通過したとき、タグが不法に外されたときなどに発報します。ゲート設置が難しい場所や補助的用途で使われることが多い。
防犯ゲートは、一目みてゲートだと分かるタイプもあれば、一見しただけでは判断がつかないものもあります。用途や設置場所に応じて、最適な製品を選ぶと良いでしょう。
タグの形状・タイプ
防犯タグには形状・タイプにも多様性があります。用途や商品によって適した形状を選ぶことが、運用上の満足度やコスト効率に直結します。主なタイプは、以下の通りです。
- ラベルタグ・シールタイプ…商品の表面に貼り付けるタイプ。コストが低く目立ちにくいため、日用品・雑貨など大量商品の防犯に適する。貼り付け位置やサイズを工夫することで見た目・検知感度のバランスを取る必要がある。
- ハードタグ・PIN タイプ…布製品・アパレル商品などで布地にピンで刺して固定するもの。専用の解除器で外す必要があり、防犯性が高い。穴を開けたくない商品には避ける場合がある。
- スライドタグ、吊り下げタグ、挟み込みタグ、ストラップタイプ…商品の形状や素材・大きさに応じて選べる柔軟なタイプ。アクセサリー・電子機器・大型家電・釣り具など、取り付け・外観・使いやすさを考慮して選択できる。
- 特殊タグ(ボトルタグ・メガネフレームタグ・専用品タグなど)…特定の商品カテゴリに合わせた専用形状を持つタグ。デザイン性や商品価値を損なわずに防犯を図るもの。
形状に合ないものを選ぶと、商品を傷つけてしまう可能性もあります。規格や形状に合わせて、最適なタグを選ぶのがポイントです。
アラームの数および機能性
タグやゲートが持つ警報機能の数も、製品によって異なります。たとえば「発報機能が1つ(例:ゲート通過時のみ発報)」だけのものから、「ゲート検知・自鳴タグ警報・取り外し時警報」のように複数のアラーム機能を持つものがあります。
機能数が多いほ防犯性能は高まりますが、コストも上がる傾向にあります。予算や用途に合わせて、必要な機能を選定することが重要です。
防犯タグのメリット
防犯タグを導入することで、店舗には多くのメリットがあります。まず、商品にタグが付いているだけで「防犯体制が整っている」という印象を与え、万引きなどの不正行為を心理的に抑止する効果があります。未精算品の持ち出しや不正なタグの取り外しをリアルタイムで検知できるため、被害が起きる前または早期に対処でき、被害拡大を防げます。
さらに、タグを活用することで陳列商品の数量確認や棚卸し作業が効率化され、作業時間や人件費の削減にもつながります。盗難・万引きによる損失を減らし、被害が発生しても早期発見で最小限に抑えられるため、商品の価値保全と損失コストの削減にも効果的です。
防犯タグのデメリット
防犯タグの導入には多くの利点がある一方で、いくつかのデメリットや課題も存在します。
まず、導入時には防犯ゲートやタグ本体、除去器具などの購入・設置費用がかかるうえ、全商品にタグを取り付けるための作業工数や日常的な管理・点検といった運用コストも発生します。タグが不正に取り外されたり破壊されるリスクもあり、強度や取り付け方法が不十分だと十分な抑止効果が得られません。
また、ラベル型やピン型などのタグは商品の外観に影響を与えることがあり、特にデザイン性が重視されるファッション商品では購買意欲を損ねる恐れがあります。金属や液体を含む商品では電波干渉による誤検知や感度低下が起こりやすく、誤報が続くと顧客の不信感につながる可能性もあります。これらを踏まえ、導入前にコスト・運用・適合性を慎重に検討することが重要です。
まとめ
防犯タグは、盗難や万引きを未然に防ぎ、損失コストの削減や店舗の信頼向上に貢献する有効なツールです。リアルタイムでの検知機能により、被害を早期に発見・対処できるほか、棚卸しや在庫管理の効率化にも役立ちます。
一方で、初期導入費用や運用コスト、デザインへの影響、誤検知リスクといった課題もあるため、導入前に十分な検討が欠かせません。商品の特性や店舗規模、運用体制に合ったタグとゲートを選定し、他の防犯施策と併用することで、高い防犯効果を発揮できるでしょう。